Research

私たちの研究室では、様々な物性を有する分子群の創製と、精密な分子集積化を可能にする手法の開発を通じ、有機・高分子からなる「ソフトマテリアル」の革新的機能を開拓しています。光吸収・発光特性、電導性、磁性など、物性に富むパイ電子系分子群をモチーフに、立体構造、電子構造、適切な元素・官能基の導入などを戦略的に考え、機能創製に向け合目的的に分子をデザインします。合成した分子は、「自発的組織化」や「ナノサイズの足場」などを利用して空間特異的に集積化し、巨視的にも分子の配列が制御された材料を創製します。これらの材料では、個々の分子に起こるわずかな状態変化が巨視的レベルにまで増幅され、大きな機能を発現することが期待されます。さらに、複数の機能団を用いる系では、個々の性質の足し合わせではなく、相乗的機能を実現するための基礎学理を探求します。究極的には、生体に匹敵する高度な物質・エネルギー変換を実現する材料の開発を目指します。
福島・小泉研究室は、2010年12月にスタートした新しい研究室です。当グループのポテンシャルについて、私たちがこれまで行ってきた研究例を述べつつ紹介したいと思います。

ナノカーボンを用いた新素材開発と応用

ナノカーボンを用いた新素材開発と応用 ナノカーボンは、優れた力学・電気特性を併せ持つ物質であり、次世代機能材料の構成要素として大きな注目を集めています。昨年、グラフェン研究のパイオニアにノーベル賞が与えられたことは記憶に新しいことと思います。私たちは、ナノカーボンを分子・高分子と複合化させ、様々な電気物性を有する物質を開発してきました。そのきっかけとなったのが、イオン液体といわれる物質がカーボンナノチューブと混ざると、ゲル状の物質を形成するという現象の発見です。この発見から研究を展開し、高電導性プラスチックや、人工筋肉の構成材料として期待されているソフトアクチュエータの開発に世界に先駆けて成功しました。またこれらの知見は、柔軟で伸びる「伸縮性有機エレクトロニクス」という革新的分野の創成にも役立っています。

 

分子自己集合化による電子・光電子機能性ナノ材料

picuture_research.jpg有機材料科学の分野において、分子の自己組織化を利用した機能物質の開発は今最もホットな領域の一つです。私たちは、グラファイトの部分構造を有する分子を自己組織化させるための方法論を開拓し、世界初の電子・光電子機能を有する分子性ナノチューブを創製することに成功しました。発展研究として、このナノチューブの特徴である「デザイン可能な内外表面」を活用し、特色ある多くの有機ナノチューブの開発にも成功しました。これら一連の研究成果は、当該分野におけるマイルストーンとして世界的に認識されています。関連研究として、他のパイ電子系分子を空間特異的に組織化させるデザインを見出し、光電子機能を有するナノ構造体や、三次元的に発達した電荷輸送経路を有する新しいタイプの液晶材料なども見出しています。

 

 

光や電気信号を感じて動的に振る舞う分子・高分子材料

光や電気信号を感じて動的に振る舞う分子・高分子材料 機能分子を大面積で規則正しく集積化させる技術は、次世代材料の開発にとって不可欠な要素技術です。しかしこれまで、分子集積体をセンチメートルの大きさで作製することは極めて困難でした。私たちは、ブラシ状の高分子(ポリマーブラシ)を上手に利用することで、機能団を大面積で3次元的に一挙に配列させる手法を開発しました。導入する機能団として、光で構造を変える分子を用いると、光に応答して筋肉のように動く新しい材料が得られます。この新しい大面積分子集積化法は、いろいろな系に適用可能であり、分子の個々の機能を巨視的に引出す、新しい材料の開発が期待されます。さらに別の系では、分子から電子一つを出し入れすることで、動きが劇的に変化するバネ状分子も構築しています。分子の動きを制御することで新しい応答材料の開発を目指しています。

参考URL:
http://www.echem.titech.ac.jp/seminar/semi.html#fukushima
http://www.riken.go.jp/r-world/research/lab/asi/green-ecrt/index.html

メッセージ:
物質科学が私たちの社会に果たす役割は、基礎・応用を問わず益々大きくなっています。今後益々重大になる「環境・エネルギー問題」の解決への取り組みも、物質科学の発展なくしてはなしえません。学問を通じて広く社会に貢献しようという「高い志」や、一つ所に留まらず常にフロンティアを突き進むもうとする「チャレンジ精神」を持った学生の皆さん、是非私たちの研究室を訪ねてみてください。

 

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お問い合わせ先
東京工業大学
科学技術創成研究院
化学生命科学研究所

当研究室は物質理工学院 応用化学系に所属しています。

教授 福島 孝典

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